色々とひと段落したので、近況報告も兼ねてここ数年の取組を書き置いておきたいと思います。
1. 京都哲学研究所創設と国際会議開催
一般社団法人京都哲学研究所(代表理事:NTT澤田会長・経団連副会長、京大出口文学部長、理事:日立東原会長・経団連副会長、博報堂戸田前会長、読売G山口社長等、創設功労者:Wall Street Journal 親会社オーナーThomson Family)において、2023年7月の創設以来、Executive Advisor 兼 Chief Strategistという身に余る大役を仰せつかっております。ひとえに両代表理事及び理事各位をはじめとする皆様方の御厚情・御高配のお陰様です。
われわれ京都哲学研究所は、2025年9月22日から24日にかけて、京都議定書採択の地である国立京都国際会館において、初の国際会議である第1回京都会議を開催しました。


「『価値多層社会』の実現に向けて」をテーマに開催した当該会議には、特設サイトにも掲載のとおり、東大総長、京大総長、東京藝大学長、東京科学大理事長などの国内研究者、僕の指導教官でもあるハーバード大学デザイン大学院の前学長をはじめとする世界各国の研究者、国内上場企業の会長/社長/創業者(順不同で、東芝、三菱重工、JT、NEC、JAL、日本生命、メガバンク3社など多数)等、のべ600人にご参加賜りました。
僕自身は、研究所創設4ヶ月前の2023年3月に当該会議の開催を含む初期構想を現代表理事の御二方(NTT澤田会長・京大出口文学部長)にお持ちして以来、研究所の長期戦略立案に加えて、この京都会議全体の構成から各セッションのトピックや登壇者などプログラムの全体設計を担わせて頂くとともに、会議各日のラップアップを含めて計4回登壇させて頂く光栄に与りました。個人的には反省も数多くありますが、御参加者の皆様には総じて御好評を賜り、2027年に開催予定の第2回以降に繋がる形で終えられたように感じております。

(壇上が野村。読売G山口社長、JT岩井会長等とのセッション開始時)

(左から野村, NTT澤田会長, 京大出口文学部長, ボン大マルクス・ガブリエル教授)
また、当該会議を経て京都哲学研究所は、スイス政府とジュネーブ政府が創設した国際シンクタンクであるGESDAとKIPの連携協定も締結しました。GESDAの現会長はダボス会議の現会長でもありますところ、世界への更なる発信に取り組んでまいります。
2. 京都市政の2050年までの基本方針「京都基本構想」の起草
京都市が25年に一度策定する市政基本方針である「京都基本構想」(仮称)の審議会特別委員として起草(つまり審議会委員各位の御意見を踏まえた全文の執筆)を担う光栄に与りました。当該審議会の委員には、堀場製作所堀場会長、京都府医師会松井会長、京都大学公共政策大学院曽我院長など名実ともに京都を代表されている大先達が数多くいらっしゃり、委員の皆様との議論を通して個人的にも本当に貴重な勉強をさせて頂きました。本基本構想の草案は審議会の正式な答申として9月中旬に京都市の松井孝治市長に提出しており、市議会での御議論を経て正式に策定されます。

(NHK: 左から松井京都市長, 審議会宗田会長, 野村)
また、上記1. の京都哲学研究所主催の国際会議「第1回京都会議」直後には、京都市主催にて、「京都基本構想」(仮称)と京都哲学研究所の理念を接続する形で対話を織り成すオープンカンファレンスも催され、僕も、京都市松井市長、NTT澤田会長、京大出口文学部長とともに登壇させて頂きました。

本基本構想は、上記1. で触れたGESDA(スイス政府・ジュネーブ政府が共同創設した政府組織)の幹部からも極めて好評で、スイスでの国際会議での世界に向けた発信も予定されております。今後も京都と日本の真髄を世界に提示してまいります。
3. 任天堂創業家とのYamauchi Japan Initiativeの創設
任天堂創業家である山内家のYamauchi No.10 Family OfficeのExecutive Advisorとして、世界における日本の存在感と影響力を高めるイニシアチブたるYamauchi Japan Initiativeを考案・設計しました。ハーバード大学ケネディ行政大学院に在籍する国連職員、世銀職員、王族、各国国家元首アドバイザー等を毎年500名程度の応募者の中から20名程度選抜して日本に招聘し、世界遺産や人間国宝等を訪問しつつ、相互理解深化とコミュニティ形成を推進しています。国際機関や各国政府のトップリーダーたちにも京都/日本の思想や文化が十二分に通用することの確信を年々強めています。10年、20年と継続することで新時代のソフトパワー外交の礎としていけたらと考えています。
4. AIベンチャーアイリス株式会社CCO(8年目)
AI搭載医療機器を開発・製造・販売するアイリス株式会社にて、2018年11月の入社時から執行役員を、2019年7月からはChief Creative Officerを務めています(ここでの "Creative" は広告等というよりOut of The Box的アプローチ全般を意味し、一般的な語彙で言えばInnovationが近いかと思われます。)。
オフィスさえ無かった時代に6人目として入社してから早8年目を迎えつつあり、同社はこの間、インフルエンザ診断支援AIを搭載した医療機器の開発・製造・販売の推進(国内1,000以上の医療機関に導入済)、新型コロナウイルスに関する新機能の開発、スタートアップW杯世界大会優勝、経産省/NEDOの予算事業への採択、厚労省/AMEDの予算事業への採択などを地道に進めてまいりました。
僕自身は、AI医療機器開発にあたっての厚労省/PMDAとの法的整理、国内発新技術を用いたAI医療機器として史上初の公的保険適用に向けた大臣経験者等との協働、2023年グッドデザイン賞 経済産業大臣賞を受賞した際の資料&スクリプト作成、資金調達、業務執行取締役及び非執行取締役のサーチと入社/着任までコミュニケーション、毎週の経営会議のアジェンダ設定とファシリテーション、ここには書けない斜め上すぎる案件の対応など、書き切れないほど様々な業務を担ってきました。前職の経産省という巨大な官僚組織での経験も相俟って、オフィスも無い数名のスタートアップから100名を超える組織へと変貌していく過程をCXOとして体感できたことは大きな財産になっています。組織や共同体が直面する課題には一定程度の一般性があり、したがって、解決方法にも一般性を見出せるように感じています。
5. HBSケーススタディ(The Pokémon Company)の共著
ハーバード大学経営大学院でビジネスリーダー向け講義で取り扱われる経営事例研究(ケーススタディ)を共著しました。ポケモンが名実ともにグローバルブランド/IPとなった25年間の歴史を振り返ったものです。同社社長をはじめとするほぼ全ての役員の方々と数え切れないほどの議論の機会を頂戴できたのは大ファンとしてこの上ない僥倖でした(僕は世界大会の実況もできると勝手に思っています。舞えるだけ舞え!)。長期的かつ本質的な価値創出を追求してき同社の歴史は本当に敬服に値するもので、多くの経営者の方にとっても参考になるかと思います。
”The Pokémon Company: Evolving into an Everlasting Brand”
6. 企業・自治体の戦略アドバイザー等
創業数年のスタートアップ企業から誰もが知る世界的企業、50年以上の歴史を有し数十店舗を展開する地域密着の飲食店に至るまでに対して、経営戦略(長期戦略、世界戦略、ブランディング戦略 etc)の策定、MVV(Mission, Vision, Value)策定、これらに紐付く組織設計、エクイティストーリー策定など幅広くご支援してきました。
また、国のWG登壇、大阪府知事直下の万博関連有識者委員、上記2. にもある京都市総合計画審議会の特別委員(2050年を見据えた25年間の市政基本方針「京都基本構想」起草)、高校までを過ごした人口16万人の富山県高岡市の政策アドバイザーなどを務めつつ、大臣経験者等のアドバイザーやディスカッションパートナーも担っています。
おまけ
母校であるハーバード大学ケネディ行政大学院の公式ウェブサイトで、上記した取組を含めた半生を紹介いただいています(掲載内容は2023年当時のものです。)。当時まだ生後半年だった息子と愛犬のごましおちゃんも写真で登場しています。きっとハーバードのウェブサイトに載った初の柴犬のはず...Big Love...
"From humble roots to Harvard Kennedy School"

おわりに
高校生の頃から「世界で勝負したい」「世界を動かしたい」ずっと思っていたのですが、30歳を迎える際に「30代はひたすら土台作りに費す」と決意し、まさにその通り愚直に30代前半を過ごしてきました。現在は35歳なのですが、40歳までは引き続きひたむきに修行と準備に励みたいと思っています。
その上で、過去5年程度で取り組んできた&今後の人生50年においても取り組んでいくことを単純化して言語化すれば「京都/日本から人類社会の未来に貢献する」ということに尽きます。
これをさらに書き下せば下記になります。
- 京都/日本の思想・文化の可能性を最大限発揮することで新たな次元のソフトパワー外交を展開し、国際社会における日本の存在感と影響力を高めながら人類社会に貢献していく。より具体的には、非二元論/非要素還元主義的な概念的枠組をグローバルアジェンダ形成及びグローバルルールメイキングに応用していく。たとえば、"Sustainability" が人間を自然から切り離す客体化を強く前提し、"Diversity" が個人という枠組の絶対的独立性を前提してむしろ自己と他者を根底で分離してきた中で、人間と自然の不可分性、個人-社会や自己-他者の不可分性といった視座を前提とする概念的枠組への世界の転換を牽引し、より多層的で共栄に資する国際秩序や国際制度(会計基準や国際租税から国際機関のあり方に至るまで)に結実させていく。
- 上記と相補的に、日本国政府から自治体、AIから伝統工芸や藝道、数十万人の従業員を有する巨大企業から創設後数年のベンチャー企業に至るまで、超グローバルと超ローカルの双方において、崇高ながらも複雑で、曖昧で、それゆえに尊い理念や理想を、言語/組織/事業/政策/制度などとして具体化し、人類社会の未来に遺すべき価値の保全に貢献する。
国際機関から町内会に至るまで規模や抽象度は一切問いませんので、本気で未来を変えたい方で面白い構想/アイデア/リソースがおありの方がいらっしゃっいましたら是非ご一報いただければと存じます。