野村将揮 | Philosophical Insights − 哲学と政策と経営のあいだ −

哲学研究者で元経産官僚で医療AIベンチャーCXOがハーバードで考えた哲学的洞察の走り書き

未来について

人生への責任

自分の人生への責任を全て背負って生きて死んでいくほかないという残酷極まりない当然の事実を覚悟を以て受容した人間は、たとえ表面的には柔和でも、奥底から鬼気迫るものが滲み出て来る。無論、元来的に個人の生は独立して存立しているものではないので、…

言葉の頽廃による感性の消失、あるいは人間性の敗北について

言葉を尽くして感情や思想や記憶を語り、伝え、遺していく。この種の人間的営為に纏わる姿勢それ自体が前時代的なものになりつつある。衆目を集めるには過剰に単純化された形容や揚げ足取り染みた極論の方が効率(まさに"コスパ/タイパ")がいい。言葉が情報…

哲学的に考えてみる: SDGsと日本の哲学

本稿では巷で流行りのSDGsについて哲学的に考えてみたい。先立って結論染みたものを極めて単純化して述べてしまえば、下記のようなこととなる。 SDGsやSustainabilityまわりの議論は、個人主義や資本主義といった今日日において支配的な思想に通底する根幹の…

哲学的に考えてみる: Z世代のメディア活躍と大人の責任

批判的な響きを伴う言葉ひとつ口にするだけで、たとえ文意や趣旨が攻撃的でなくとも、揚げ足取りや言葉狩りといった反撃(というか先制攻撃)に遭うという喜劇染みた社会構造がすでに完成しつつある。この社会構造と相補的に、いわゆるZ世代と銘打たれた若い…

ありえた未来についての哲学的省察

中学校の国語の教科書にあった、「人生はからくりに満ちている。」という星野道夫の言葉が、なぜか15年以上にわたって心に刻まれて残っている。 最近、起こり得た未来について考えることが多い。いつかは死ぬ中で、これからの自分の未来を何が規定し得るのか…

SDGsブームから考える同時代的主題と構造的課題と

いつの時代においても、いわば「同時代的主題」とでも呼ぶべきものがある。 たとえば1960年代には、ベトナム反戦運動やヒッピー運動が世界的な趨勢を惹起し、日本国内においても岩波進歩派知識人が中心となって一つの時流が形成されていたわけだが、これは時…

「あいのり」と共同体規範と組織論の未来

人は誰しも言葉を媒介に規範意識を内面化している。また、個別の共同体規範は、特定の思想や志向性を言葉に乗せて構成員に植え付けることで成立する。世間的には「共通言語」や「組織理念」、「モットー」「クレド」など様々な呼ばれ方があるが、性質的には…

書くという営為について

一般に文章を書く際には、読み手や受け手が措定されている。それは成就しなかった初恋の相手かもしれないし、いまの好敵手かもしれない。自分にコンプレックスを植え付けた経験や場面かもしれないし、そのコンプレックスを刺激してくるインフルエンサーや世…

経済産業省退職にあたって

今日付で経済産業省を退職した。入省に至った経過と今日感じたことを書き記したい。いつかの自分のために。

2018-0910

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